『自費でおこなう根管治療・Retreatment』 |
寺内吉継先生 |
![]() 近年、私大を中心に多くの歯学部が定員割れになっている事実をご存知だろうか。将来有望な若者たちが、歯科医を『3K』と認識し、分の職業として選ばなくなっているのだ。世界的にも珍しい歯科業界の難局は、顕著に安く抑えられている診療報酬システムにあると考えられる。 特に劣悪な環境におかれているのが根管治療である。 保険診療の範囲内での治療では、診療報酬は世界標準 の10分の1以下である。また、先端機材も使用でき ないため根管治療成功率は著しく低い。 しかし、Journal of Endodonticsを含む近年のエンド 関連の調査論文では、米国歯内療法専門医によるマイ クロエンドの成功率は97%以上と非常に高いことが報 告されている。一方インプラントの近年のサバイバル レートは軒並み90%以下になってきている。日米の根 管治療成功率の差は、『診査・診断』の的確さと『感染 除去』の徹底度合である。 米国のような適切な根管治療を受けるためには、それ 相応の環境整備が必要であろう。即ち、治療の難易度 と結果に基づいた『成果主義報酬システム』である。 これにより、いかに困難でも患者のニーズを的確に汲 み取った治療にあたろうとするインセンティブが生ま れると考えられる。 今回の講演では自費でおこなう根管治療・Retreatment を紹介し、よく遭遇するトラブルに対し、エビデンス をベースにした解決策を示したい。この講演を通じて Retreatmentの成功率を上げ、歯科医としてのバリュー アップにつなげていただければ幸いである。 |